EVの中でもっとも身近で、2022年の段階で車種も多く出ているのがPHEV(PHV)です。国産車、輸入車ともに充実しており、入手もしやすくなっています。今回、おすすめのPHEV(PHV)を紹介すると共に、EVとPHEV(PHV)の違い、PHEV(PHV)の特徴などを解説します。
EVとPHEVの違いとは
まずはEVとPHEV(PHV)の違いを解説します。EVと一口に言っても、実はいくつか種類があります。EVはElectric(電気の)Vehicle(乗り物・車両)の略で、電気を使用して走る自動車に広く使われます。PHEはEVの種類の一つと捉えればわかりやすいでしょう。
PHEVは正式にはPlug-in Hybrid Electric Vehicleと言います。Hybrid(ハイブリッド)とついていますので、ハイブリッド車の一種と捉えることもできます。ハイブリッド車ですので、電気のみ、またはガソリンのみでも走行が可能。EVというと「電気のみで走る自動車」を想像するかもしれませんが、ガソリンを使用して走行することもできるPHEVも含まれるのですね。
なお、PHEVはPHVと称されることもあります。PHVはPlug-in Hybird Vehicleのことを言い、両者の違いはE(Electric)があるかないかです。ただし、PHVがEVではない、つまり電気で走らないかと言えば、そんなことはなく、電気でもガソリンでも走るハイブリッド車という側面は変わりません。メーカーによってPHEVと呼ぶかPHVと呼ぶかの違いはあるものの、両者は同一と考えてもまず大丈夫です。なお、ハイブリッド車はHEVまたはHVと表記されます。これもE(Electric)があるかないかの名称の違いだけで、両者は同一のものです。
PHEVの特徴
PHEVの大きな特徴は、外部から充電できることです。Plug-in(プラグイン)と名称がついてることが示すように、プラグをコンセントに差し込んで充電します。この特徴はそのままHEV(ハイブリッド車)との違いになるでしょう。HEVは外部から充電することはできません。エンジンを発電(走らせる)ことで充電します。通常、PHEVのほうがHEVと比較してバッテリーの容量が大きく、電気のみで走行できる距離は長くなります。つまり、ガソリンの使用も減り、環境性能も高いということになるのです。なお、PHEVのほうがHEVより高価な傾向があります。
PHEVはHEV同様に日本ではとても馴染みのあるクルマです。エコカーや電気自動車というと、真っ先に「ハイブリッド車」を思い浮かべるかもしれません。実際、各メーカーから多くの車種が次々と発表されており、日本、アメリカを中心にPHEV、HEVの需要は伸び続けています。
一方、EUでは2035年以降は、いわゆるガソリン車をはじめ、PHEV、HEVを発売することができなくなりました。日本でもガソリン車の発売は禁止されましたが、もPHEV、HEVは引き続き、販売は可能です。また、EUでもPHEVを走らせてはいけないとは言っていません。PHEVが2035年以降もEUで走り続けることはほぼ間違いのないことでしょう。EUの指針が各メーカーに何らかの影響は与えると考えられますが、しばらくはPHEVの活況が続くのではないでしょうか。
PHEVとBEV、今買うならどっち?
BEVは電気のみで走るクルマで、一般的に電気自動車と言えばBEVを指していると考えても、大きな支障はないでしょう。BEVについてはこちらの記事でも紹介していますので、ぜひ参照いただきたいと思います。
PHEVとBEVにはそれぞれメリット・デメリットがあります。走ることを考えた場合、もっとも大きな違いは、ガソリンが使えるか使えないかになるでしょう。PHEVはガソリンでも走れるため、万が一の場合は給油ができます。このため、長距離の走行を想定している時は現状ではPHEVのほうが有利です。充電スポットは全国的に急増しており、全国に約2万カ所あると言われていますが、まだまだガソリンスタンドのほうが多くあります。ただし、今後はガソリンスタンドが減り、充電スポットが増えることが予想されます。燃料コストは電気のほうが安いため、充電スポットが増えれば、PHEVにとってもありがたいことです。
価格は車種による違いが大きいので、どちらのほうが高い・安いという言い方はなかなかできません。正式な購入価格は補助金によっても変わってきます。従って、最終的には遠距離走行の有無、環境性能、メーカーのサービス、デザインの好みなどが決め手となるでしょう。BEVとの比較はぜひこちらも参考にしていただいて、以下におすすめのPHEVをご紹介します。
【トヨタ プリウスPHV】
ハイブリッド車と言えばプリウスと言っても過言ではないほどの知名度を持つプリウスのラインナップにPHEVも加わっています。燃費・走行性・操作性に優れ、実績のあるクルマということで安心感もあります。特に燃費の評価は高く、30.3km/Lとトヨタの他のガソリン車と比較してもトップレベルの低燃費です。また、EV走行距離は満充電から60㎞となっており、高い性能を有しています。
■ボディサイズ
全長×全幅×全高 4,645mm × 1,760mm × 全高1,470mm
■車重
1,510 ~ 1,530 kg
■燃費(WLTC)
30.3km/L
■EV走行距離
60km
■価格帯
3,383,000円〜4,010,000円
【三菱 エクリプスクロス PHEV】
クロスオーバーSUVタイプです。エクリプスクロスはグローバル戦略車として各国で販売されており、2020年にPHEVモデルが販売されました。走ることを重視しているのが特徴の一つで、特にハンドリングの良さと操縦安定性は高い評価を受けています。重厚な外観は高級感が醸し出されいます。内装も洗練されており、SUVらしい十分なスペースも魅力の一つと言えるでしょう。
■ボディサイズ
全長×全幅×全高 4,545mm × 1,805mm × 1,685mm
■車重
1900~1920㎏
■燃費(WLTC)
16.4km/L
■EV走行距離
57.3km
■車両本体価格
3,848,900円〜4,510,000円
【レクサス NX450h+】
レクサスのミドルクラスSUV「NX」のPHEVです。レクサスはもともと主戦場を北米や中国に置いていることもあり、NXシリーズは海外で非常な人気を集めています。外観はもちろんのこと、内装は高級感にあふれ、広々としたシートが備えられています。ステアリングやメーター、タッチパネルの位置にも工夫が施され、高いユーザービリティを実現しました。また、レクサス初となる「先読みエコドライブ(EV/HVモード切りかえ)」が搭載されており、高い水準のエコドライブを可能としています。
■ボディサイズ
全長×全幅×全高 4,660mm × 1,865mm × 1,660mm
■車重
2,010㎏
■燃費(WLTC)
19.8km/L
■EV走行距離
88km
■車両本体価格
7,140,000円〜7,380,000円
【メルセデス・ベンツ A250e】
ヨーロッパの各メーカーは、2035年にEUで新発売ができなくなるにも関わらず、PHEVの開発に積極的で、日本市場にも次々と投入されています。メルセデスもそうしたメーカーの一つです。A250eはパワフルなエンジンを有し、力強い走りが高く評価されています。モーターのみでも140km/hまで加速でき、航続距離は70.2kmとかなりの距離を走れる性能です。なお、A250e基本はセダンですが、注文生産でハッチバックにも対応しています。
■ボディサイズ
全長×全幅×全高 4,560mm × 1,800mm × 1,460mm
■車重
1720kg
■燃費(WLTC)
16.3km/L
■車両本体価格
567万円
【ジープ レネゲード 4xe(Renegade 4xe)】
Jeep(ジープ)では初となるPHEVです。ジープと言えばオフロード。無骨なデザインで、山道や岩場を力強く走り抜けるイメージが定着しているでしょう。レネゲード 4xeもオフロード性能を有し、悪路の走行を得意としています。とはいえ、あくまで街中を走ることを想定しているので、デザインは丸みを帯びたものとなっています。ジープの良さを残しながら、次世代に対応した一台です。
■ボディサイズ
全長×全幅×全高 4,255mm × 1,805mm × 1,695mm
■車重
1790~1860㎏
■燃費(WLTC)
14.8~16.0km/L
■EV走行距離
50~52km
■車両本体価格
5,670,000〜5,730,000円
【BMW 330e M Sport】
BMWの主力モデル、3シリーズにPHEVが加わりました。PHEVになってもスポーティーな外観と力強さは残したまま。BMWのブランドスローガン「駆け抜ける歓び」を体感できるでしょう。3シリーズのPHEVはこれが2世代めで、EV走行距離が30km台から58kmにほぼ倍増しました。さらに、高速道路の渋滞時にドライバーの負担を軽減するハンズ・オフ機能や来た道を戻ることができるリバース・アシストなど、複数の運転支援機能が搭載されています。PHEVを選ぶ際の非常に有望な選択肢と言えるでしょう。
■ボディサイズ
全長×全幅×全高 4,715mm × 1,825mm × 1,450mm
■車重
1,820 kg
■燃費(WLTC)
13.5km/L
■EV走行距離(WLTCモード)
58km
■車両本体価格
7,100,000円